企業に人材育成の余裕はなし
数の上では圧倒的に企業優位の買い手市場のはずなのだが、「優秀な学生のとり合いに企業間の競争が厳しい」、「母集団の拡大で膨大な費用と労力を消費している」、「いい学生が採れない。内定者が足りない」など、採用現場の悩みは尽きない。企業の採用活動で何といっても目立つ変化は「厳選採用」の潮流である。正社員採用を抑制し、将来の中核を担うコア人材に絞るなか、学生に求める知識・技能など能力水準を定めている。さらにいえば、世界を舞台に活躍できるタフさとコミュニケーション能力を持った人材だ。
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企業はそういった欲しいと考える学生だけを採用し、採用基準に満たなければ採用予定数に達しなくてもさっさと採用活動を終了する企業が増えている。かつては企業での人材育成は企業内訓練の役割とされ、大学は卒業後に育成される能力の基盤となる素質を持った学生を供給すればよかった。簡単にいえば、大学側が「明るく率直で協調性のある人材」を送り出してくれれば、あとは企業が企業内研修で人材育成をしますよ、という関係だった。ところがグローバル競争が激化するなか、人材を内部で時間をかけて育成する余裕がもはやなくなり、そのぶん企業は大学に対し、社会人・職業人として通用するような職業能力の養成を求めるようになってきているのだ。余裕を失った証拠に、今や「人材育成に課題があるとする企業は七割にも上っている」という文部科学省の調査結果がある。具体的には非正規雇用の増加により、正社員の労働時間が増加し、企業内訓練中心の人材育成に割く時間も費用もなくなっているというのである。
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